アース国際特許商標事務所

新人弁理士青山くんの歓迎会-「杵屋うどんすき」事件-

緑山商標事務所にも、この春、新人弁理士が入所しました。弁理士登録したばかりの青山くんです。

さてさて週末にでも、青山くんの歓迎会を開きたいと思います。青山くん、なにか希望の店はあるかな?イタリアンでも、フレンチでも、和食でも、、、なんでもいいよ。

ありがとうございます。そうですね、じゃあ「うどんすき」なんてどうですか。

う・・・うどんすき?・・・まぁ、うどんは好きですよ。

じゃあ、「うどんすき」で!お願いします。

え。。。きまり? うどん?

うどん・・・。 (うどんで決まりかぁ・・・)

あ・・・すみません。やっぱり暑い時期に鍋はNGですか?

な、鍋!??? (鍋だったのか・・・)

関西出身なので、ついつい・・・宴会と言えば「うどんすき」なんですよね。

あ、そうなんだ。宴会と言えば「うどんすき」ね・・・。関西の人はフグ鍋も好きだよね。

申し訳ないが、青山くん・・・「うどんすき」って何なの?

えー!? 「うどんすき」をご存知ないですか?「うどんすき」とは、「うどんを魚介類、鶏肉、野菜などの具材と合わせて食べる鍋料理」のことです。通常、鍋に「うどん」と言えばシメじゃないですか、しかし「うどんすき」の場合、はじめから「うどん」を入れるのです。

ちなみに、この「うどんすき」は昭和35年に商標登録されているんです(第553621号)。

あ、登録商標なのね。

ええ、しかし今では普通名称として認識されています。そこで問題となったのが、「杵屋うどんすき」事件です。「杵屋うどんすき」の商標登録(第2350456号)について、「うどんすき(第553621号)」と似ているとして商標法4条1項11号の無効審判が請求された事案です。棄却審決がされて、取消訴訟まで発展した事件です。

東京高等裁判所の判決は、「「うどんすき」なる語は、訴外Aが創作した料理の名称として考案した当時は原告の商品としての出所表示機能を有するものであったが、次第に京阪神地区を中心としてうどんを主材料とした鍋料理を意味する語として使用されるようになり、本件商標の登録査定時である平成3年5月24日当時には、既に本件商標の指定商品である「うどんめん、うどんめんを主材にした加工食料品」の一般需要者はもとより、その専門的な加工販売業者等の取引者の間でも、「うどんを主材料とし魚介類、鶏肉、野菜類等の各種の具を合わせて食べる鍋料理」を意味するものと広く認識されるに至っていたものと認められる。・・・中略・・・本件商標の登録査定時には普通名称化しており、その指定商品との関係においては自他商品の識別機能を有しないものというべきである。

と判決されました(平成9年(行ケ)第62号 11月27日判決)。 登録商標が、普通名称化してしまった事例ですね。原告の「うどんすき(第553621号)」の権利者側は、長年にわたり「うどんすき」を使用して宣伝活動を行う一方で、「うどんすき」の名称を使用する者に対しては、商標権侵害として使用の中止を要請するなど、普通名称化を防ぐ努力をしてきたようなのですが、当時は役務商標の制度がなかった時代ですからね・・・普通名称化は避けられなかったようです。

なるほど。一つ勉強になったよ、青山くん。

しかし、緑山先生が「うどんすき」をご存知なかったとは。ネット上では「うどんすき」のレシピがたくさん掲載されていますよ。

ははは。僕は関東人なのでね、「うどん」より「蕎麦」なんだよ。しかし、一度は食べてみたいな。 よし!今回の歓迎会は「うどんすき」にしよう。

ということで、このお話の結末は・・・

案件「新人歓迎会」

青山くんの歓迎会は、「うどんすき」の鍋になった。関西風の薄味の出汁で、野菜や肉の旨味が引き立っていた。ごちそうさまでした。