アース国際特許商標事務所

デザイナーミイコの場合-パロディー商品-

来春デザイン系の専門学校を卒業する予定のミイコは、近々、Tシャツのネット販売会社を起ち上げようと企画中です。そこでTシャツのデザインについて相談にやってきました。

私は、デザイナーの卵のミイコといいます。この度は、Tシャツ販売を行いたいと思っています。私のコンセプトとしては、有名ブランドのロゴをアレンジして、オシャレかつユニークなパロディ商品を作って、人々の心を和ませ、そして世の中を明るくしていくような・・・そんなTシャツを提供できたら、と思ってるんです。

なるほど、パロディ商品ですか・・・。

有名ブランドの品物は、高価で手に入らない。だけど、それにちょっと手を加えたパロディ商品なら簡単に手にすることができる。私は、みんなをハッピーにするような服を作るのが夢なんです。デザイン案を持ってきたので、ぜひ見てください。このような商品が、なにかしら商標権とか著作権の侵害にならないか相談したいのですが。

なるほど、分かりました。結論から申し上げますと、別のオリジナルデザインの服を作った方が良いと思いますね。

え?どういうこと?私のデザインはダメってことですか?

いえいえ、ダメだと言っているわけではありません。「リスクが高い」ということを申し上げたいのです。

でも・・・ネット上には、同じようなパロディ商品が数多く売られています。それらのはパロディ商品はよくて、私の商品はダメだという理由を教えてください。納得いかないです。このデザインは、私自身が創作したものだし、別にロゴを商標として使用しているわけではないし、だれが見てもパロディだと分かるものだし・・・それなのにダメなのですか?

確かに、現状として、多くのパロディ商品が販売されていることは事実です。有名ブランド側もある程度許容している部分があるのでしょう。その一方で、パロディ商品の販売元が訴えられたり逮捕されたりする事案があることも事実です。例えば、高級ブランド「LOUIS VUITTON」の商標から「U」の文字を除いた「LOIS VUITTON(ロイス・ヴィトン)」というロゴを使用したパロディ商品を販売していた者が、商標法違反容疑で逮捕された例もあります。パロディ商品のロゴの商標登録が異議申立で取り消されたという裁判例もあります。今回のTシャツに関しても、商標権侵害に該当する可能性は十分にありますからね。商標権の侵害は非親告罪ですから、訴えがなくとも罰せられることもあるんですよ。ある日突然、警察の家宅捜索が入ったり、逮捕される可能性もあるんですよ。

そんなに脅さないで下さいよ。パロディ商品で儲けている人もいるのに・・・。先生知ってますか?今、パロディ商品が流行ってるんですよ。 海外セレブや有名人が、あえてパロディを身に着けて、それが逆にカッコいいという風潮があるんです。私もその波にのっかって、有名になりたいんです。

まぁ、パロディ商品というのはグレーゾーンですからね。有名ブランド側もパロディ商品の「アーティスティックな表現の自由」を認めている部分はあるのかもしれませんね。しかし、パロディを野放しにしておくことにより、自らのブランド価値が損なわれる可能性もありますからね。このようなパロディ商品については、常に目を光らせていることでしょう。時に見逃す場合もあれば、厳しい対応をとる場合もあるでしょうね。

だったら、私のデザインも見逃される可能性があるということですよね。

その一方で、逮捕されたり訴えられたりする可能性もあるということです。まぁ、私の見解としては、このようなデザインのTシャツは販売しない方が無難かと思いますがね。

ひどい・・・せっかくデザインしたのに。

有名デザイナーになりたいのならば、尚更、自分のオリジナルブランドを作った方が良いと思いますよ。

ということで、このお話の結末は・・・

案件「ミイコの場合」

パロディTシャツの販売はあきらめて、Tシャツのネット販売会社の起ち上げも延期したようだ。

来春からは、アパレルメーカーに就職が決まったらしい。