地理的表示とは、農林水産物・食品等の名称であって、その名称から当該産品の産地を特定でき、産品の品質等の確立した特性が当該産地と結びついているということを特定できるもののことをいいます。簡単に言えば「地域ブランド」のことです。このような地理的表示は、その名称を知的財産として保護するために登録することができます。
例えば「神戸ビーフ」「夕張メロン」「鳥取砂丘らっきょう」などは、地理的表示法に基づき、地理的表示として登録されているます。必ずしも地名が付いている名称に限られず、「すんき」のように、その名称を聞いて産地(長野県木曽郡…)を特定できるものであれば、地理的表示として登録が認められます。
ちなみに「すんき」とは、長野県木曽地方の伝統的な発行食品で、赤カブを使用した漬物の一種です。地理的表示として登録を受けるためには、その地域固有の気候・風土や伝統製法などの明確な裏付けがあることが必要であり、また、おおむね25年ほど生産が継続されていることが条件になっています。
地理的表示登録をすれば、その生産者団体は「地理的表示」を使用することができます。それ以外の者による地理的表示や類似等表示の使用は原則規制されます。ブランド力のある地域の産品について、模倣品を排除することにより、そのブランド価値の維持・向上が期待できます。
国(農林水産大臣)は、地理的表示登録の産品について、生産者団体による生産行程管理業務が適切に機能しているかどうか定期的にチェックします。また地理的表示の不正使用が行われている場合は、国(農林水産大臣)が取締りを行います。
農林水産大臣によるチェック・取締りについて詳しく地理的表示の登録は農林水産省に対して行います。商標登録(地域団体商標)は特許庁に対して行いますので、商標登録とは別物であることが分かります。地理的表示の登録の仕方について、簡単な流れを説明しましょう。
地理的表示登録は、農林水産物、飲食料品などの必要があります。また、その産品が生産地特有の自然・人的要因と結びついた特性を有すること、かつ、その特性を維持した状態で25年ほどの生産実績があることが必要です。
地理的表示登録の条件について詳しく申請の際に、費用はかかりません。登録が認められた場合は、登録料90,000円が必要です。一度登録してしまえば、登録が取り消されない限りは存続し続けます。更新手続きも更新料も不要です。
申請書には下記の事項を記載して「明細書」「生産行程管理業務の方法に関する規程」「そのほか、農林水産省令で定める書類」を添付する必要があります。
地理的表示登録の制度は、2015年から始まった比較的新しい制度ですが、これまでに多くの地理的表示が登録されています。地理的表示登録の第一号は「あおもりカシス」という地理的表示です。産品は「果実類 すぐり類」の区分で登録されています。
地理的表示登録の登録例GIマークとは、地理的表示を意味するgeographical indicationsの略です。登録された生産地や品質等の基準を満たした産品は、地理的表示が付されて流通することになります。その際、併せて下記のGIマーク(地理的表示法に基づく登録標章)が付されることとなっており、地理的表示産品であることの証となります。
GIマークは、登録された産品自体に使用するか、登録産品を原材料として使用した加工品にも付すことができます。ただし、登録された産品自体以外のものには付すことができません。
地理的表示やGIマークを不正に使用した者には、措置命令を行い、改善されない場合には罰則が科せられます。
地域団体商標は、地域ブランドを商標権(出所表示)として登録して、その名称を独占排他的に使用することができるものです。地理的表示登録は、農林水産物などの名称をその生産方法などの基準とともに登録して地域の共有財産として保護するものです。
地域団体商標と地理的表示登録の違いについて詳しく商標権者本人が申請を行う場合、又は商標権者の承諾を得た者が申請を行う場合は、地理的表示の登録が可能です(承諾が撤回された場合は、地理的表示登録の取消事由となります)。
できません。個人や企業は、申請することができません。
生産業者を直接又は間接の構成員とする団体であって、農林水産省令で定める団体でなければ、地理的表示登録をすることができません。
(法人でない団体にあっては代表者又は管理人の定めのあるものに限り、法令又は定款その他の基本約款において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)