あり得ます。登録商標の使用だからといって、安心はできません。不正使用している場合は、商標登録が取消されてしまうこともあります。たとえ商標権者でも、不正使用の場合は不正使用取消審判で取消されます。
不正使用取消審判とは、登録商標の不正使用に対する制裁として、商標権を将来的に消滅させる審判のことです。不正使用取消審判にも、幾つかタイプがありますが、主として下記の二つが挙げられます。
審判は、何人も請求することができます。取消すべき旨の審決が確定したときは、商標権はその後消滅します。多区分にわたる商標登録の場合であっても、そのすべてが消滅します。
また、不正使用取消審判で商標登録が消滅した場合、審決が確定した日から5年を経過しなければ、不正使用を行った商標権者は、その指定商品等に係る登録商標と同一又は類似の商標について商標登録を受けることができません。
はい。その場合もあります。53条審判の規定は、自由に使用許諾を認めたことに対する弊害防止のためのもので、無責任な使用許諾の濫用を防止する制裁規定です。商標権者は使用許諾にあたって自己の信用保全のたに十分な注意をしなければならないのですね。ただし、商標権者が不正使用の事実を知らなかった場合で、相当の注意をしていたときは、取消しを免れ得ます。相当の注意とは、定期的に報告義務を課すなどして、使用権者を実質的に支配していることです。
過去に不正使用をしていた場合で、現在は行っていない場合、その使用の事実がなくなった日から5年を経過した後は、審判を請求することができません。