商標登録出願をする際には、出願人の氏名(名称)及び住所(居所)を記載して出願します。権利者となる者の情報ですので、原則として偽名での登録はできません。
しかし注意が必要なことは、出願人又は権利者の氏名(名称)及び住所(居所)は、「公報」により公開されるということです。公開されることを知らずに出願して、後で、「家の住所が公開されてしまった」と慌てることもあります。この点には、注意が必要です。
商標検索のデータベース「特許情報プラットフォーム」では、平成27年4月から、出願人の住所の一部を非表示とする対応をとっています。具体的には、
との対応をとっているようです。しかし「公報」を確認すると、住所が全部記載されていますので、住所の一部非表示の対応は、「個人情報保護」の観点から行われているというよりも、事務処理手続きの簡素化、情報提供の迅速化の観点から行われているものなのでしょう。
偽名で商標登録することは、できません。仮に偽名で商標登録をした場合、いざその権利を行使しようとした時に、その商標権の権利者が自分であると証明するのは困難であり、認められないでしょう。
偽名、ペンネーム、芸名であっても、商標として使用する場合は、商標登録することができます。しかし、その際にも、出願人の欄には本名(あるいは名称)を記載する必要があります。
ペンネームや芸名を登録した場合の留意点は、例えば小説家が、自分のペンネームについて商標登録したとします。指定商品は、【第16類】の「文房具、書籍」などです。この場合、他人が「文房具」に登録商標のペンネームを付して販売したような場合は、権利侵害で差止等の権利行使することができますが、他人が登録商標のペンネームで「書籍」を出版したような場合は、必ずしも商標的使用とはいえないので、商標権の行使ができない可能性があります。