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トーマスさんの場合-社会通念上同一の商標とは?-

横浜で英会話教室を営んでいるトーマスさんは、教室の名前「THOooMAS English School」について商標登録しています。指定役務は、第41類の「知識の教授」です。ところが先日、トーマスさんの商標登録について、不使用取消審判が請求されてしまいました。

Oh~ My God!!!! 不使用取消審判を請求されました。

落ち着いてください。不使用取消審判を請求された場合であっても、登録商標の使用を証明すれば、取り消しは免れ得ます。ところで登録商標の使用はしていますか。

Of course!!! もちろん、使ってマース。BUT、a little bit…少し手を加えてマス。ほんのちょっとネ。

ほんの少し・・・登録商標と社会通念上同一と認められる範囲内のものであれば、登録商標の使用として認められる可能性があります。

What?? しゃ!?? しゃかいつうねんじょ???何の意味ですか?

登録商標と社会通念上同一と認められる商標とは、

  • 書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標
  • 平仮名、片仮名等の表示を相互に変更するもので同一の称呼・観念を生ずる商標
  • 外観において同視される図形からなる商標

などが挙げられます。例えば、ローマ字の大文字を小文字に変更している程度であれば、社会通念上同一であると認められる可能性はあるのですが・・・トーマスさん、具体的にどのような使用態様なのか教えてください。

「O」のところを重ねたよ。That is so cool!!

これは、厳しいかもしれません。

このような事例があります。「RAGGAZZA」という登録商標について「G」と「G」を重ねて表記した商標が、登録商標の使用と認められず、不使用取消審判で取り消されてしまった例もあります。審判官の判断は、

「使用商標は、看者をして、構成文字の一部「GG」を図案化したものと認識されるものであって、「RAGGAZZA」の文字を端的に表した標章として看取されるものとはいい難く、むしろ、上記中間部に2つの「G」のモノグラム風の標章が表されたものとして受けとめられるというのが相当である。してみれば、使用商標と本件商標とは、その構成及び態様を異にするといわざるを得ないものであるから、使用商標は、本件商標の有する独自の識別性と同一のものとは認め難いものであって、書体のみに変更を加えた本件商標と同一の文字からなる商標とはいえない。したがって、上記使用商標をもって、本件商標と社会通念上同一の商標であると認めることはできないものである。」

と審決されました(取消2012-300605)。今回の場合も、この「O」の部分の表示態様が図案化されていますからね。登録商標の使用と認められない可能性があります。

Rreally!?? 厳しいね~。でもでも、これで商標の使用と認められるかもしれないし、とりあえず、これを使用の証拠として提出してみたらいいんじゃない?ワタシの好きな日本語は「ダメもと」なのデス。Try! Try!それでダメなら。もう、仕方ないから。諦めるよ。

ということで、このお話の結末は・・・

案件「トーマスの商標登録」

結局、トーマスの商標登録は、不使用取り消し審判で取り消されてしまった。

トーマスは英会話教室を辞めて、母国アメリカに帰国したようだ。

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