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ひつまぶし【拒絶査定不服審判】

「ひつまぶし」といえば、名古屋の郷土料理として有名ですね。実に4段階の食べ方があり、

  1. 普通の鰻飯として食べる。
  2. 薬味のネギ、ワサビ、海苔などを混ぜて食べる。
  3. 出汁や煎茶を注ぎ、お茶漬けにして食べる。
  4. 3つのうち、最も気に入った食べ方で食べる。

という、一度に4度美味しい料理です。この「ひつまぶし」は、うなぎ料理のメニューとして多くの飲食店で提供されています。が、実は登録商標なのです(第1996631号)。

指定商品は、【第29類】の「食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。)」や、【第30類】の「べんとう」などの商品です。

権利者である「株式会社蓬莱軒」は、【第43類】の「飲食物の提供」についても、「ひつまぶし」を出願したものの、拒絶査定が下されました。そこで出願人は、拒絶査定不服審判を請求しました。

「ひつまぶし」の識別機能

特許庁の判断は(不服2006-25186)、

「ひつまぶし」の文字(語)は、戦後の食糧難の時代に鰻のこまぎれを活用して考案された料理であって、名古屋の鰻屋の大半がメニューに加えており、名古屋名物として全国に知られているものと認められる。そうすると、「ひつまぶし」の文字からなる本願商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該役務が鰻を細かく刻んでご飯にまぶした料理の提供であると理解するにとどまり、該役務の質、役務の用に供する物を表示したものと認識し、自他役務の識別標識としての機能を有しないものといわざるを得ない。

として、「ひつまぶし」が役務の質等を表示するものとしての識別機能を有しないと判断しました。また、出願人の商標としての周知度については、

「ひつまぶし」は、お品書きにあるように、「鰻丼」、「長焼定食」等の料理名と同じ欄に書いてあることより、料理名として認識されるとみるのが相当であり、飲食物の提供について使用する商標として広く認識されているとはいい難い。・・・(中略)・・・「ひつまぶし」の文字(語)は、現在において、鰻料理を提供している各店舗における料理名の一つとして一般に使用されていること前記1のとおりであり、本願商標は、その指定役務との関係において、鰻を細かく刻んでご飯にまぶした料理の提供であると理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を有しないものであるといえるから、請求人(出願人)の使用の事実、あるいは商品における登録商標があるとしても、その主張は採用することができない。

として、周知性もないと判断しました。これにより「飲食物の提供」について「ひつまぶし」の出願は、拒絶査定が維持されました。

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