アース国際特許商標事務所

キャラクター商標の類似範囲

キャラクターの商標権を所有しているのですが、少し変更して使用しても大丈夫でしょうか。具体的には、キャラクターの「泣き顔バージョン」や「困り顔バージョン」などです。 青山くん

商標権の効力は、登録商標の類似範囲にまで及びます。だからと言って、商標権者が類似範囲の商標を使用することを積極的に認めているわけではありません。もちろん、「泣き顔バージョン」や「困り顔バージョン」のキャラクターが、他人の権利を侵害していない場合、使用するのは自由です。このような異なるバージョンのキャラクターを使用しても、問題とならない可能性が高いですが、その使用が必ずしも登録商標の使用として認められるとは限りません。

例えば、キャラクター登録商標が「寝転んだ少年」である場合、その少年が「立ち上がったバージョン」は、別の商標と判断される可能性があります。キャラクターの少年自体は同じであっても、図形の形態が顕著に異なるために社会通念上同一の商標と認められない場合には、別の商標と判断されます。

別の商標と判断された場合、厄介なのが、不使用取消審判を請求されたときです。不使用の取消しを免れるためには、登録商標を使用しているかどうかが争点となりますが、変更を加えた商標の使用が、登録商標の使用であると認められなければ、商標登録が取り消されてしまいます。

変更を加えた別バージョンの使用が、登録商標の使用であると認められるかどうかは、正直なところ、ケースバイケースです。ほんの少し表情が違う場合などは社会通念上同一の商標と認められることもあります。一方で、キャラクターの「泣き顔バージョン」や「困り顔バージョン」が、場合によっては別の商標と判断される可能性もあります。ですので、別バージョンのキャラクターの使用をする場合には、登録商標の不使用で取り消されることを回避するためにも、並行して登録商標の使用もしておくのがよいでしょう。

キャラクターの色を変えた場合は、どうですか?登録商標の使用と認められますか? 青山くん

事例にもよりますが、例えば、色つきのキャラクターの商標登録を白黒で印刷した場合、それは登録商標の使用と認められる可能性が高いです。しかし、白黒のキャラクターを7色に変更する場合などは、登録商標の使用と認められない可能性があります。商標法70条1項には、色違い類似商標について、このような規定があります。

「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする(70条1項)。

この規定によれば、「その登録商標に類似する商標であって」との文言があるように、色彩が特徴的なことにより、そもそも登録商標と非類似の商標になっている場合は、本項に規定の色違い類似商標には該当しないということになります。色違い類似商標の原則は、下記の2点です。

  • その登録商標に類似する商標であること。
  • 色彩を同一にすれば登録商標と同一の商標と認められること。

色彩を変えても似ていると判断される場合に限り、本項の規定により登録商標の使用であると認められる可能性があります。色彩を変えることにより似ていない場合は、本項の規定には該当せず、登録商標の使用であると認められない可能があります。

他人が、キャラクターの商標を少し変えて使用している場合は、その使用を差し止めることができますか? 青山くん

商標権の効力は、類似の範囲にまで及びますので、他人が勝手に登録商標と似ている商標を使用している場合は、差止請求などの権利行使をすることができます。しかし、似ているかどうかの判断は、一概には言えません。事案によって異なります。

一般的に商標の類否判断は、「称呼」「観念」「外観」を総合的に考察して判断します。キャラクターの場合は、「外観」が重要となるでしょう。ポイントは一般的取引者・需要者が、通常有する注意力でもって出所の混同を生ずるおそれがあるかどうかです。異なる場所と時間において、両商標が付された商品を比較して、「あ、同じ会社の商品だな」と混同を生ずる場合などは、類似範囲といえるでしょう。

では具体的に、類似と認められた例をみてみましょう。

【審決取消訴訟】(平成13年11月27日 東京高平成13年(行ケ)174号)

「両商標が、構成上の基本的な要素に共通点を有し、その共通性のゆえに、その外観全体から直ちに受ける視覚的印象が著しく似通ったものとなるのに対し、その差異点は、両商標に隔離的に接した場合には明りょうに把握できない程度の微差であるか、そうではないとしても、看者の印象に残り難いものであるのみならず、いずれも両商標の構成上の細部にわたる要素に係る差異であるにすぎない。そのような差異点が看者が受ける印象の相違は、上記の外観全体から直ちに受ける視覚的印象をさほど減殺するものではなく、両商標の外観は互いに類似するものというべきである。」と判断されています。

【審決取消訴訟】(平成18年5月31日 知財高平成18年(行ケ)第10011号)

「両者の相違はいずれも些細な微差にとどまるものというほかない。すなわち、両者は、上記のようなカンガルーの特徴を捉えて黒く塗りつぶして描いた点において構成の軸を一にしているため、看者に与える印象が近似したものになり、時と処を異にして両者に接するときは互いに紛れやすいというべきである。」と判断されています。

このように、類似と認められるかどうかはケースバイケースです。他人が勝手に使用している商標が、自分のキャラクター商標と似ているかどうかは、裁判で争うことになる可能性もあります。類似判断について個別具体的に知りたい場合は、お気軽に、お問い合わせください。

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