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エルメスのバーキン【立体商標】

エルメスのバーキンといえば、有名なブランドバッグですよね。一つ何百万円もする高級バッグです。

このバーキンのバッグが、商標として登録されているのをご存知ですか?

通常では、バッグのデザインなどの物品の形状等は、意匠として保護されるべきものです。にもかかわらず、バーキンは立体商標として登録されています。指定商品は、【第18類】の「ハンドバッグ」となっています。

そもそも商品「ハンドバッグ」について商標「ハンドバッグの図」などは、識別力がないものとして登録を受けることができません。単に商品の形状等を説明したに過ぎないものとして、自他商品等識別機能、出所表示機能などがあるとは考えられないからです。

このバーキンの出願も、一旦、拒絶査定がされましたが、拒絶査定不服審判で登録が認められました。商標法3条2項の適用を受けての登録となっています。

バーキンの場合、そのバッグの形状が著名であることから、商標として出所表示機能などを有することがあると認められたのですね。出願から登録まで、3年以上もかかっての登録でした。

エルメス

バーキンの事件簿「商標権侵害行為差止等請求事件商」

平成26年5月21日、バーキンの立体商標(第5438059号)に関する、商標権侵害行為差止等請求事件について判決が下されました(東京地方裁判所)。

エルメス側は、バーキンの立体商標に似たバッグを販売している業者に対して、使用差止及び損害賠償を請求し、裁判所はこれを認め、使用差止と賠償を命じました。

商標の類否判断については(最高裁昭和39年(行ツ)第110号)、

「その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考慮すべく,しかもその商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。そして,商標と標章の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品・役務につき出所の誤認混同のおそれを憶測させる唯一の基準にすぎず,したがって,これら3点のうち類似する点があるとしても,他の点において著しく相違することその他取引の実情等によって,何ら商品・役務の出所の誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては,これを類似の標章と解することはできないというべきである」

とされており、立体商標の場合も、平面商標と同じく、この判断基準が当てはまるものと解されます。今回、バーキンの立体商標からは、「観念」ないし「称呼」が生じないので、「外観」の類否が要点となるところ、「外観」が似ていると判断されたということですね。

このような物品のデザインについて商標登録できるならば、意匠登録よりも商標登録の方が良いと考える人もいるかもしれませんね。なぜなら意匠権は、設定登録の日から20年間で権利が消滅するのに対して、商標権は、何度でも(10年ごとに)更新することができますので、半永久的に権利を持続させることができます。

今回のバーキンのように、立体商標として登録しておけば、半永久的にバーキンについて保護を受けられるということになります。

しかしあくまで、物品のデザインは意匠法で保護するものであり、出所表示機能を有する標章は商標法で保護する、ということが大前提です。バーキンのような著名な表示は、意匠法での保護対象であるのに加えて、商標としての機能も果たし得るものなので、商標登録が認められたのですね。

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