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横手やきそば

ここ数年「B-1グランプリ」なる「B級ご当地グルメの祭典」が、地域経済活性化を目的として開催されています。初代グランプリ(2006年度)は、静岡県富士宮市の「富士宮やきそば」。2011年度は、私の地元の味「ひるぜん焼そば」がグランプリに輝いています。これに伴い、近年では地域団体商標の出願や登録も活発になってきています。

地域団体商標とは、地域ブランドを保護することにより、我が国の産業競争力の強化と地域経済の活性化を目的として、地域名称と商品・役務の普通名称からなる商標などについて、登録要件を緩和された商標のことをいいます。

今回焦点を当てるのは、秋田県横手市「横手やきそば」の地域団体商標についてです。

周知の程度

地域団体商標の登録を受けるためには、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている必要があります。第三者による自由な使用を制限してまでも地域の名称及び商品等の名称等からなる商標を保護すべきであるといえる程度に当該商標に信用が蓄積されていることが必要であり、保護対象とする商標は、第三者による便乗使用のおそれが生じる程度に信用の蓄積がされているものに限定すべきだからです。求められる周知性は、全国的な需要者の間に認識されるに至っていなくても、一定範囲、例えば隣接都道府県に及ぶ程度の需要者に認識されていることが要求されます。

「横手やきそば」の周知性

審査の段階のおいて「横手やきそば」は、「出願人は,『株式会社セブン-イレブン・ジャパン』,『株式会社ファミリーマート』,『株式会社サークルKサンクス』,『日清食品チルド株式会社』及び『株式会社ローソン』と契約し,出願人監修の元で各会社から一定期間商品を販売していたことを明らかにしているが,これらの商品に接する需要者は,当該商品を上記各会社が製造・販売する商品として認識するとみるのが相当であるから,本願商標は,出願人又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。したがって,本願商標は,商標法第7条の2第1項の要件を具備しない。」とされ、出願人又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして周知性を獲得していたと認めることはできないものとして登録を拒絶されました。

これに対して「協同組合横手やきそば暖簾会」は、拒絶査定不服審判を請求し、そこで「横手やきそば」の周知性について争われました。地域団体商標の登録については、やはりその商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているかどうかが争点となることが多く見受けられます。また、同じ地域において別の組合等や構成員に加入していない者がその商標を使用している場合には、4条1項10号に該当するものとして登録を受けることができなかったり、またはその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められない可能性があります。

本件においては、不服審判で「株式会社セブン-イレブン・ジャパン」「株式会社ファミリーマート」などの企業が,請求人と「横手やきそば」の商品化に関する契約を締結し,「横手やきそば」を販売していたが,このことは,取引者は「横手やきそば」が請求人の業務に係る商品であることを認識していることを表しているものといえるし,また,請求人は,その商品化に際しては,各企業と協議や試食を繰り返し行うなどして,請求人が承認したもののみが販売されること,長期間販売される商品については定期的に品質管理状況などの確認を行っていること及びそれらの商品には「横手やきそば暖簾会監修」などと請求人名が表示されていることを考慮すれば,前記契約に基づく請求人監修商品の販売をもって,本願商標と請求人との結び付きを阻害する要因とみることは相当ではない。」として「横手やきそば」の周知性を求め、元査定を取り消し登録を認める判断を下しました。

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